g_analyze -hの日本語訳

原文:Gromacs Manuals - g_analysis

導入

g_analyzeはANCII形式のファイルを読み込んでその中のデータを解析します。入力ファイルに書かれた行の最初の列は"時間"の列として読み込みが開始され(-timeオプション参照)、その他の数値がデータ群として後に続いて読み込まれます。数値が複数の場合は&によって分割されながら読み込まれますが、ただ一つのy値を読み込みたい場合などはオプション-nを用います。#によってはじめられた行は、@でスキップされます。すべての解析は設定(-dオプション)の導入によって有効になります。

-avと-powerを除くすべてのオプションは各点が等間隔の時間であると想定しています。

g_analyzeは各データ群の平均と標準偏差を必ず表示します。それぞれのデータ群において、同じ標準偏差を持つガウス分布のものから来る、3次、4次のキュムラント(訳注:分布を特徴づける統計的な特性値)の相対的な偏差も示します。

自己相関関数

-acオプションは自己相関関数を解析します。

主成分解析

-ccオプションは、cos(i/2)としたiのデータ群の類似性をプロットします。式は以下のようになります。
 \frac{2}{T} (\int_0^T cos(\frac{\mathrm{i} \pi t}{T}) p_{i}(t) dt)^2 (\int_0^T p_{i}^T(t) dt)^{-1}
(訳注:g_analyzeのヘルプからは判別不能でしたので、マニュアルの別の部分を参照して穴埋めしました。(ver.4.5.4 PDF版の212頁))
ランダムな拡散の主成分が純粋なコサインで表現されるので、これは主成分共分散解析から得られた主成分を得るのに便利です。

平均二乗変

-msdオプションは平均二乗変位を提供します。

分布

-distオプションは分布をプロットします。

平均(エラー補正)

-avオプションはデータ群の平均を表示します。エラーバーは、-errbarで追加することができます。エラーバーは、そのエラー(あるデータは個別のものとして想定されます。)もしくは上位と下位の5%を除いた90%の部分の標準偏差を用います。

誤差評価

-eeオプションは移動平均を用いてエラーの見積もりを行います。あるデータ群がいくつかのブロックで分割され、平均がそれぞれのブロックごとに計算されます。全体の平均から見たそのエラーは、m個目のブロックの平均同士の分散(B_i)から計算されます。
[tex:error^2 = \sum \frac{(B_i - )^2}{m*(m-1)}]
これらのエラーはブロックサイズの関数としてプロットされます。その自己相関は二つの指数の和とみなされ、解析された移動平均の曲線もプロットされます。これは以下のような式で表します。
[tex:f(t) = \sigma sqrt(\frac{2}{T} ( a (\tau_{1} (\frac{(exp(-t/\tau_{1}) - 1) \tau_{1}}{t} + 1)) + (1-a) (\tau_{2} \frac{*1]
この完全な導出はB. Hess, J. Chem. Phys. 116:209-217, 2002.によって与えられています。

Reversible Geminate Recombinationモデル

-balオプションは、指数の合計のフィッティングによって得れれた水素結合の自己相関関数を元にした超高速の"弾道"成分を見つけ出し、減算します。これはO. Markovitch, J. Chem. Phys. 129:084505, 2008によって考え出されました。この最も早い項は指数の係数が最も負となるものです。または、-dオプションによって、時間が0である最も負の導関数です。-nbalexpはフィットさせる際にいくつかの指数を用います。

-gemオプションは、可逆対再結合モデルに基づき、二分子反応速度定数kaとkb(必要に応じてkDも)を水素結合自己相関関数にフィッティングします。弾道成分の最初の除去を強く勧めます。このモデルはO. Markovitch, J. Chem. Phys. 129:084505, 2008.によって発表されました。

フィルタリング

-filterオプションはそれぞれのデータ群におけるRMSの高周波変動と、フィルタリングされた平均に関するすべてのデータ群を出力します。このフィルターは、-len/2からlen/2の線上にあるtを用いたcos(\pi t/len)に比例します。lenは-filterオプションと一緒に設定されます。このフィルターはそれぞれ0.79と0.33の値によるlen/2とlenの周期の振動を減少させます。

-gオプションは-fitfnオプションで与えられた関数にデータをフィッティングさせます。

log-logフィッティング

-powerオプションはデータをb t^aにフィッティングします。この式はa t + bをlog-logスケールでフィッティングが完了したものを示します。最初が0、もしくは負であるすべての点は無視されます。

Luzar & Chandler運動解析

-luzarオプションはg_hbondコマンドの出力を元に、Luzar & Chandlerの運動解析を行います。この入力ファイルはg_hbondコマンドの-acオプションから直接得られたものか、それと同じものである必要があります。

*1:exp(-t/\tau_{2}) - 1) \tau_{2}}{t} + 1))))] Tは合計時間、\tau_{1}\tau_{2}f^2(t)error^2にフィッティングすることで得られます。真の移動平均が解析された曲線にとても近い場合は、そのエラーが以下のようになります。 [tex: \sigma sqrt(\frac{2}{T} (a \tau_{1} + (1-a) \tau_{2}